平成30年度も昨年度に引き続いて、ある選択関数に基づきつつ単調減少する半閉部分空間の区間列を構成するための考察を行った。以下、実績報告を述べる。無限性に関連した議論の複雑さを軽減するために、諸条件を満たす仮定のもとで選択関数を考察してきたが、P.A.Fillmore とJ.P.Williams の1971年のある結果を用いることで、そのうちの1つの条件を満たす選択関数は存在しないことが示された。 半閉部分空間の p 冪(0 < p < 1)という概念を導入し考察を行った。このことより閉部分空間とは、半閉部分空間のうち1/2 冪で変化しないものと特徴付けされる。また、p 冪は、昨年度導入した Uhlmann の補間的作用素平均を用いた2つの半閉部分空間を結ぶ path を用いて表現できることがわかった。すなわち、Uhlmann の補間的作用素平均として補間的作用素 p-幾何平均を用いれば、半閉部分空間と全空間の path が半閉部分空間の p 冪に一致する。このことから、有界作用素で不変な半閉部分空間に対し、その p 冪も不変となることが path の性質により証明することができた。 2つの半閉部分空間を結ぶ path に対し、その path 上から2つの半閉部分空間を任意に選んで結んだ path は最初の path の部分 path になるか、という問題については特定のケースでは肯定的解が得られたが、一般には完全な解答は得られなかった。
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