研究実績の概要 |
研究目的は引き続き複合媒質上の伝送問題に着目し, 伝送条件を伴う優決定問題の解の幾何学的特性を明らかにすることであった。特に複合媒質特有の中性導体の特徴付けの問題について海外研究協力者の Hyeonbae Kang 氏(Inha 大学・教授)と共同研究を実施し, 非等方的媒質内の場合の未解明である中性導体によるconfocal ellipsoids の特徴付けの問題に挑戦し, 調和関数の研究の重要性を確認した。Kang 氏の指導院生であるYong-Gwan Ji 氏を共同研究者に加え, Kang 氏と共同研究を継続中である。 さらに, Kang 氏の博士研究員であった Xiaofei Li 氏(浙江工業大学・准教授)を加えた共同研究により, 2次元空間内の外部一様電場への影響の少ない近似中性導体の存在を論文:H. Kang, X. Li and S. Sakaguchi, Existence of coated inclusions of general shape weakly neutral to multiple fields in two dimensions, arXiv:1808.01096v1, 24ページ(学術誌に投稿中)で示した。同心円で構成される2相導体が外部一様電場への影響を全く与えない中性導体であることは古くから知られていたが, 本論文は陰関数定理を用いて, 同心円を微小摂動することにより, 無限に多くの非対称な近似中性導体が存在することを初めて示したものである。このことに関連して, 3次元空間内の近似中性導体の存在について共著論文を準備中である。また, 研究協力者のLorenzo Cavallina 氏(東北大学・博士研究員)は2相複合体に対するねじれ弾性問題の形状最適化問題における同心球形状の安定性の詳細な解析を学術誌に発表した。
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