研究課題/領域番号 |
16K13769
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
柳田 英二 東京工業大学, 理学院, 教授 (80174548)
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研究分担者 |
菅 徹 東京工業大学, 理学院, 助教 (60647270)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 発展方程式 / 偏微分方程式 / 特異点 / 非線形解析 / 分岐 |
研究実績の概要 |
いくつかの非線形放物型偏微分方程式と非線形楕円型偏微分方程式に対し、動的特異点を持つ解が存在するための条件と、特異点近傍における漸近的形状について調べ、以下のような成果を上げた。
1.べき乗型非線形項を持つ半線形放物型方程式に対し、指数が Serrin 指数より大きい場合については特異解の存在が示されている。本研究においては、指数が Serrin 指数より小さい場合について、動的特異点を持つ解の存在、非存在の研究を行った。特異点を発生させるために、時空間上の測度を外力として持つ方程式を考察し、それが解を持つための測度の条件を求めた。 2.べき乗型非線形項を持つ半線形放物型方程式に対し、これまでの研究により特異点が有限個の場合には移動特異点を持つ解の存在が示されている。本研究においては、特異点集合が1次元以上の多様体となるような場合を考察し、あるパラメータ条件のもとで解の構成を行った。そのための準備として、線形熱方程式に対して同様の特異点集合を持つ解の存在を示し、その漸近的な形状を明らかにした。 3.有界領域の境界で発散しているような解については、これまでの研究により楕円型方程式に対してこのような解の存在が明らかにされている。本研究では、移動境界を持つ有界領域上で定義された吸収項型の非線形項を持つ放物型偏微分方程式に対し、境界で発散しているような解について調べた。比較関数法を用いてこのような解が存在することを示すとともに、一意性を強く示唆する評価式を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記述したように、いくつかのタイプの非線形放物型偏微分方程式に対し、動的特異点を持つ解が存在するための条件について研究を進め、漸近的形状について明らかにした。当初の狙い通りに研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
特異解の存在と漸近形状については主な部分の解析を行ったが、一意性についてはまだ不十分な点があり、より詳細な解析を進める。また、これまで取り上げなかったタイプの方程式についても、動的特異点の存在、除去可能性、一意性について調べていく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外研究者を訪問して共同研究を進める予定であったが、先方の都合により、訪問が延期となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
Prof. Chiun-Chuan Chen (National Taiwan University) および Prof. Xinbin Pan (East China Normal University) との共同研究実施を目的とした海外出張旅費等に使用する。
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