研究課題
本研究では重力波に象徴される、短時間で消えてしまう突発天体を、より速く、正確に、効率よく実現するために、GPUや深層学習のような最先端の計算機技術を導入するという試みである。【気象識別器】数百平方度の天域を手分けしてサーベイする際に天文台ごとのビジビリティを全天画像から識別する気象識別器を開発した。当時最も高評価だったCRF-RNNを使った試作機で、90%以上という高い識別精度を達成したが、移植が困難があったため、より高速・軽量な識別器を開発し、ラップトップPCでの動作を実現した。【突発天体検出器】我々は画像差し引きを行わず2つの画像をそのままCNNで比較し突発天体を検出する識別器を開発した。従来、手法では望遠鏡のPSFを特定のモデル関数で再現していたが、本手法はCNNでPSFを説明するため、よりも高い精度が期待できる。4層のCNNによる識別器を用いた実験では識別成功率80%を達成し、現状広く使われているHOTPANTSを上回る性能を実現した。【画像処理高速化】現状の画像解析パイプラインにGPU等の最新の計算機資源を積極活用するためCUDAをpythonから呼び出すCupy用いて各種画像処理プログラムを開発し、従来のIRAF/pyRAFを用いた処理に対して30倍超の高速化を実現した。【意義・重要性】日本では重力波電磁波対応天体追観測ネットワークJ-GEMが立ち上げられ、日夜監視を行っているが、この監視作業は徹夜かつ目視の地道な確認作業であり、数十名の研究者が当番制で運用している。しかし、O2以降は週に1回以上と重力波の発生頻度は極めて高く、既に組織運営の観点で限界に達している。本研究で開発した技術は、いずれもマルチメッセンジャー・時間領域天文学を実際に行うために必須であり、さらになる技術開発を進めることがコミュニティから期待されている。
JAXA革新的衛星技術実証プログラムの実証一号機搭載装置DLASは本萌芽研究の派生技術として、組み込み装置に画像認識プログラムを搭載して衛星軌道上でリアルタイム画像認識を行うプロジェクトである。画像認識アルゴリズムやそのトレーニングデータ生成等の部分は本萌芽研究で行った気象識別を基礎としている。
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https://www.titech.ac.jp/news/pdf/tokyotechpr20181218_dlas.pdf
https://www.titech.ac.jp/news/2019/043335.html
https://www.titech.ac.jp/research/stories/space_and_satellite.html
http://www.hp.phys.titech.ac.jp/yatsu/DLAS/
http://www.kenkai.jaxa.jp/kakushin/index.html