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2016 年度 実施状況報告書

広禁制帯幅半導体による微弱紫外光検出素子の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K13792
研究機関岩手大学

研究代表者

成田 晋也  岩手大学, 理工学部, 教授 (80322965)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード紫外光 / フォトダイオード / 窒化物半導体 / 酸化亜鉛
研究実績の概要

本研究では、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)や酸化亜鉛(ZnO)といった紫外波長領域に対応した広禁制帯幅を持つ半導体材料を用いて、微弱紫外光に高い感度を持つフォトダイオードの実現を目指している。今年度はまず、UVセンサ用としてn-SiC上にAlGaNをエピタキシャル成長させた基板(膜厚300nm)を用い、受光面への反射防止膜付与など光感度向上のための素子設計の検討を行いながらショットキー型のフォトダイオードを作製した。作製したフォトダイオードの電気特性評価を行ったところ、暗電流値が数10~数100 nA/cm2であった。素子の耐圧評価では、-20V印加時に微少電流計の測定限界である10mAを超える電流が観測された。この素子の表面を分析したところ、マイグレーションによると思われる電極金属の拡散が観測されたことより、素子の耐圧も同程度であることがわかった。分光感度測定では、波長200-270nmの紫外領域で~70mA/Wの感度を持つことが確認された。また、反射防止膜の有無により15%程度の感度の違いがあり、反射防止膜の有効性が証明された。これらの結果を受けて、感度向上について検討を行い、次の目標をアバランシェ型ダイオードの開発とした。アバランシェ型素子の実現には耐圧性能の大幅な向上が必須であり、それに向けた新たなエピタキシャル基板について検討し構造を決定した。一方で、素子構造についてもシミュレーション計算により多角的に検討をして、電極形状、配置、薄膜厚さの最適化を進め今後の開発方針を明らかにした。さらに、バルク型GaNやZnOなど、従来とは異なる基板材料の使用について、プロセス条件とも併せて検討を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

紫外光フォトダイオード用に設計された高品質AlGaNエピタキシャル基板を用いて、ショットキー型ダイオードを作製し、電気的特性評価、紫外光に対する感度評価により素子性能を定量的に示した。そこから、現在の基板設計、素子設計に対して改良すべき点について明らかにした。それらを踏まえ、今後の光感度向上のための具体的な開発指針を得て、数値計算による設計の最適化など、改良型ダイオード作製の準備を進めている。今年度のこれらの成果は、当初の研究計画に照らし合わせたときに予定通りのものである。

今後の研究の推進方策

28年度から継続して、微弱紫外光センサとしてのAlGaNフォトダイオード素子の性能向上を図るため、“設計の最適化(改良)”→“作製”→“評価”といった研究開発プロセスを重ねる。この過程で問題点が見つかった場合や、特性評価結果において、計算予測と実測値に差異が観られるような場合には、原因を特定した上で、基板仕様や設計の改良、素子作製プロセス条件の変更などを行いながら問題点を解決する。中でも、29年度は、数10~100V程度の耐圧性能を持つダイオード素子の実現により、アバランシェ型フォトダイオードを開発し、光応答性を一桁以上向上させることを当面の目標とする。その準備として、前年度より高耐圧化を念頭に置いた改良型素子の設計をシミュレーション計算等も用いて開始しており、設計を確定させた後、直ちに素子作製・評価を行う予定である。
また、従来用いてきたAlGaN基板とは異なるSiやGaN上にエピタキシャル成長させたAlGaN基板やZnO基板の使用について、入手可能な基板品質の調査を行いながら、高感度フォトダイオード素子材料としての有用性を見極め、それによる素子作製も行っていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 極低温環境下で用いる紫外光センサの開発2016

    • 著者名/発表者名
      東海林諒、中里悠人、千葉寿、志田寛、成田晋也、根岸健太郎、遠藤治之、山口栄一
    • 学会等名
      平成28年度電気関係学会東北支部連合大会
    • 発表場所
      東北工業大学(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2016-08-30 – 2016-08-31

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公開日: 2018-01-16  

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