地上実験で、宇宙暗黒物質の有力候補である未発見素粒子アクシオンを検証出来る可能性を具体的に調べる為の実験環境を構築し、テストした。 本研究の原理は、超電導素子であるジョセフソン接合素子が仮想的な強磁場を形成しているとの仮定の下に、我々の銀河系に存在するアクシオンを検出するというものである。信号は電流ー電圧特性カーブ(I-Vカーブ)のステップとして現れるが、微小な信号のため、ノイズを極限まで減らした環境が望まれる。本研究では、I-Vカーブ測定のためのシステムを電圧源、電流源を用いて構築し、また冷却装置内でテスト製作した素子のテストを行うことを主眼としている。 超電導検出器を用いるため、極低温下に冷却するシステムが必要となる。現時点では東北大所有のものを借用してテストを行っているが、将来的に長期に利用できる冷却装置を考案し、設計を行った。真空装置など一部の機器の性能を大阪大学の真空装置を借用してチェックした。 また、電流値、電圧を読み出すシステムを構築し、常温下でのテストを行いノイズレベルを測定した。データ読み出し系に関しては、オシロスコープ、ノートパソコンを用いた簡易的なシステムを構築し、検出速度のテストなどを行った。また、温度を常時モニターできるシステムの構築をラズベリーパイを用いて製作した。 また一連の結果をELPHシンポジウムにおいて、報告した。 現在は、真空装置を整備し種々の条件下で装置を運転、検出器の電流値の読み出しテストを継続して行っている。
|