研究課題/領域番号 |
16K13804
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
北口 雅暁 名古屋大学, 現象解析研究センター, 准教授 (90397571)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中性子 / 対称性 / 結晶 |
研究実績の概要 |
中性子電気双極子能率(EDM)の探索は、素粒子標準模型を超える物理の検証に重要な役割を果たす。結晶内に存在する電場と熱中性子ビームを用いたEDM探索は超冷中性子を蓄積する方法と同程度の感度を持ち、異なる系統誤差を持つ検証実験として重要である。測定には非中心対称性結晶の内部に潜在的に存在する電場を利用するため、電場の大きな結晶を選定し、実際にその大きさを測定する必要がある。 本年は、結晶内電場測定手法の基礎である、ペンデル干渉の測定を行った。ペンデル干渉は単結晶の動力学的回折の結果、試料の厚さに応じて波動の透過強度が振動する現象で、その周期は結晶構造を反映している。これは回折する波長に依存するので、J-PARCパルス中性子ビームを用いると、結晶の格子定数に対応した波長の中性子に対してペンデル干渉が観測されることになる。J-PARCにおいて偏極中性子ビームが得られるビームライン17において実験セットアップを構築し、ペンデル縞観測を試みた結果、シリコン単結晶を用いて、コントラストが低いがペンデル縞の兆候を見ることができた。現在コントラスト向上のための装置改良を検討している。 また、内部電場測定用のセットアップを構築し、非中心対称性結晶であるBGO単結晶を用いて実際に測定を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パルス中性子ビームを用いた動力学的回折現象の観測に挑戦し、その端緒を得た。コントラストが低く明確ではないが、ペンデル干渉の干渉縞が見えつつある。またEDM測定にむけた、結晶内電場測定も開始した。
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今後の研究の推進方策 |
光学系の確認や調整・最適化によって、ペンデル干渉縞のコントラストを向上させる。J-PARCは今年度秋以降には中性子ビームを増強させる予定になっているので、効率よく測定できる。また、現在われわれが利用しているJ-PARCのビームラインにはビーム透過位置に検出器が1台しかない。結晶によって回折したビームを測定できる位置に追加の検出器を配置し、バックグラウンドの少ないデータを取得することができる。本年は結晶内電場の測定のための実験セットアップを完成させる。 またペンデル縞の測定条件などについては、米国との共同研究を開始する予定である。 最終的には偏極中性子を用いたペンデル干渉の観測により、結晶内電場の測定を行う。さらに磁場計算と組み合わせることでEDMの探索を議論する。
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