研究課題/領域番号 |
16K13812
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
美馬 覚 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 特別研究員 (50721578)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 超伝導検出器 / 高分解能 / 放射線検出 |
研究実績の概要 |
超伝導材料には標準的に使われるNb(ニオブ)とNbTi(ニオブチタン)のシート材料を用いる。超伝導検出器では、超伝導体の純度や、磁性体などの不純物濃度が性能を制限することが知られている。シート材料は圧延や検出器に加工する際には、金属工具との接触により想定しない磁性材料の混入が起こる可能性がある。設計の工夫と業者との打合せにより、混入を最低限に抑えられるよう工夫を行った。材料調達については超伝導体母材の納期に想定より時間がかかったため、調達の遅れがあった。 原理検証では、液体ヘリウムを用いた評価では無く、実験室が保有する0.1Kまで冷却が可能な全自動の希釈冷凍機システムを用いる。本研究に用いる希釈冷凍機は、平成28年度に発生した不調(ガス循環系の問題)は改善したが、冷却温度をモニターする温度計部分に問題が発生しため、改修した。 また、試作した検出器を評価するための測定システムとして、実績のあるLow Noise Factory社の低温用ローノイズRFアンプを購入した。放射線応答の評価のために、ザイリンクス社のKintex-7 FPGA KC705評価キットを購入した。それぞれ、既存の希釈冷凍機に組み込み、検出器のノイズレベルや放射線の信号の取得等の評価システムの構築を完了した。 平成29年の研究終了を計画していたが、評価システムの問題の対処と、超伝導シート調達の遅れに伴い、十分な評価期間を確保するため研究期間を1年間延長した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シート材料の入手と加工が容易な超伝導材料の選定と、その加工業者の選定に時間がかかった。検出器の性能を最大化するためには加工による条件出しに想定より時間がかかることが分かった。 また、超伝導検出器の性能評価を行う冷凍機の一部故障により、評価時間を十分に取ることが出来なかった。 さらに、既存の薄膜を使った超伝導検出器の研究により、検出器性能が超伝導体の金属としての電気特性に大きく依存していることが分かってきた。これに伴い、精緻な追加実験を行うため実験期間を延長した。
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今後の研究の推進方策 |
入手した超伝導シートを用いて検出器の作製を行う。検出器は前年度までに構築した評価システムを用いて評価を行う。検出器の応答評価については研究室で保有している線源を用いて行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
超伝導体シートの入手に時間がかかったこと、評価システムの基盤部分に問題が発生したことで、超伝導体シートによる検出器の作製及び評価を次年度に遅らせた。
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