研究実績の概要 |
本研究の目的はブレーザー天体のガンマ線スペクトルを用いて、宇宙近赤外背景放射の超過成分の起源を探ることにある。そのため に、以下の三段階に分けて研究を遂行する予定である。1) ブレーザーの放射スペクトルのモデル化、2) 超過成分も含めたガンマ線吸収量の見積もり、3) ガンマ線データを用いた超過成分の探査である。 当該年度においては、我々は「2) 超過成分も含めたガンマ線吸収量の見積もり」に取り組んだ。CIBER 衛星による最新の近赤外線線背景放射強度が2017年度に報告され、この最新データをもとに、様々な赤方偏移進化を仮定した場合のガンマ線吸収量を見積もった。今後のスペクトルフィットを見据えて、この結果はテーブルデータとして使用できる形にしてある。また、共同研究者らとともに Axion-like Particle を考慮にいれた場合、将来のガンマ線望遠鏡でのブレーザー観測、特にガンマ線吸収にどのような影響があるかも調べ、次世代ガンマ線望遠鏡 CTA で期待されるガンマ線ブレーザーの検出数予測とともにおこなった。これらの結果は、"Cherenkov telescope array extragalactic survey discovery potential and the impact of axion-like particles and secondary gamma rays", Andrea De Franco, Yoshiyuki Inoue, Miguel A. Sanchez-Conde, Garret Cotter2017 Astroparticle Physics, 93, 8 として、すでに Astroparticle Physics 誌より出版されている。
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