研究課題
挑戦的萌芽研究
熱電材料において変換効率を向上させるため、熱を運ぶ音響フォノンを、ラットリングを起こす原子で散乱する事が行われる。有機分子には多くの分子内振動モードがある。これらのモードを活用できれば有意義である。我々は無機層状化合物に陽イオンの有機分子を電気化学的な方法で導入する事を試みた。電子的キャリアを注入する事で電気伝導率を向上させるとともに、熱伝導率を下げる事に成功した。これは導入された有機陽イオンがフォノンの散乱に有効であったためと考えられる。本研究を通じて、変換効率を向上させる事ができた。
物性物理学
簡便に熱を電気エネルギーに変換できれば、社会の省エネルギーに貢献できる。このような働きをする物質は熱電物質と呼ばれる。変換効率を上げるには、熱電物質内における熱の流れを減らす必要がある。本研究では、無機化合物に有機分子を導入し、熱を運ぶフォノンを有機分子で散乱させる事を試みた。実験の結果、熱伝導率を下げて変換効率を向上させる事に成功した。熱電効果に有利な無機化合物と、熱伝導を阻害する有機分子を組み合わせる有効性が確かめられた。