研究課題
多秩序系物質で展開される複雑な相転移現象を左右する急所として、位相欠陥が注目されています。二準位混成波動関数に位相欠陥が生じると、それが秩序変数の消失点となり、エネルギー・ギャップにノードが出現します。本課題では、偏光依存放射光角度分解光電子分光法を発展させて、波数空間における電子軌道テクスチャを観測する手法を開発し、多秩序系における位相欠陥の研究を推進しました。平成30年度は、まず、広島大学に設置されたレーザー励起超高分解能角度分解光電子分光装置の偏光の制御性を高めました。ポアンカレ球面上を走査する励起光偏光依存性マッピング測定を行うため、1/2波長板と1/4波長板の制御を統合し、垂直偏光の向きに加えて、楕円偏向や円偏光におよぶ偏光範囲を二次元的に走査する体制を整備しました。 また、前年度に判明した偏光依存性と波数依存性の同時マッピングで生じる問題を解決するため、試料の回転軸の偏心を数十μm程度に抑え込むためのソフト制御機構を組み込み、試行錯誤を通して補正パラメータの最適化を行いました。 これらの取り組みによって確立した新しい実験技術について得られた知見を、公表論文として出版しました。実験装置の高度化の進展をふまえて、鉄系超伝導物質および二重層銅酸化物高温超伝導体の偏光依存角度分解光電子分光実験を実施しました。 これらの物質における電子軌道成分について得られた知見を、国内外の学術会議で発表し、公表論文として出版しました。
すべて 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
AIP Conference Proceedings
巻: 2054 ページ: 040017/1-6
10.1063/1.5084618
放射光(放射光学会誌)
巻: 31 ページ: 219-225
Scientific Reports
巻: 8 ページ: 445/1-9
10.1038/s41598-018-34894-7
http://www.hsrc.hiroshima-u.ac.jp/research/result/45.html