廃熱を利用するために,温度差から直接発電できる熱電材料が有望である.熱電材料は熱伝導率が低いほど高性能だが,200 K以上の高温では,試料と周囲の環境との間で熱輻射(電磁波)が熱伝導率測定の誤差の原因となり,性能が正しく評価できない.そこで本研究では,微小試料の熱伝導率測定で採用されている定常比較法の参照試料の配置を工夫して,輻射の影響を補正する方法の開発を行った.また,従来は影響が小さいと考えられた,温度差測定用の熱電対からの熱流出も同時に補正し,より正確に熱伝導率を測定できるシステムの開発に成功した.さらにこれを用いて,p型有機伝導体(TTT)2I3の熱電性能指数の試料依存性を測定した.
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