時間反転対称性を持つフェルミ粒子系では一粒子状態はクラマース縮退するが,その2状態を特定の位相で組合せて波動関数自体を四元数表示することは申請者の発案である。一方,トポロジカル相の典型例である量子ホール効果においては,チャーン数とよばれる波動関数由来のベリー接続が本質的であっことに対応し,一般のトポロジカル相においてもベリー接続はやはり本質的である。よって,時間反転対称な系においては,四元数で表示されるクラマース縮退した状態のベリー接続が本質的となる。 本課題では,この観点から四元数表示の(1)多体問題への適用と(2)時間反転対称性の破れの議論への応用という極めて挑戦的な研究を実施した。
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