本研究では基板上を遊走運動する細胞集団に関し,非生物系の実験モデルと数理モデルの両面から理解を進めることを目的とした.実験的に捕捉可能で集団運動に顕著な影響を与える特性として,排除体積の形状,保存力―非保存力の競合,粒子状態遷移が上げられることを,実験・理論の双方より明らかにした.特に保存力-非保存力の競合が容易に見られる,拡散場を介して結合する集団運動系は保存力と競合し多様な集団運動相を示すことからも今後新たな集団運動のクラスとして着目されると思われる.この際,我々の開発した,水面上を運動する液滴や粒子系,交流電場下で駆動されるポリスチレン粒子系はモデル実験系として有効となると考えられる.
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