研究課題/領域番号 |
16K13868
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
深尾 浩次 立命館大学, 理工学部, 教授 (50189908)
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研究分担者 |
瀧川 佳紀 立命館大学, 理工学部, 助教 (20755483) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | レーザーピンセット / マイクロレオロジー / 定常ずり粘度 / エイジング / メモリー効果 / 揺動散逸定理 / ずり速度 |
研究実績の概要 |
今年度は最終年度であり、以下に示すような研究成果をあげることができた。 1) これまで構築を進めてきたレーザーピンセットシステムを改良し、ビーズのトラップを容易で、確実な光学系とした。さらに、トラップ用のレーザー光(1064nm)に加えて、ビーズの位置測定用のレーザー光(862nm)を用いて、重水、グリセリン中のラテックス粒子に対して、マイクロレオジー測定を試みた。未だ安定性には不安はあるが、水、グリセリンの粘度測定の十分な再現が可能となった。 2) 1)の結果を踏まえて、これまでにマクロレオロジー測定により見出されている、ラポナイト系でのエイジング過程における定常ずり粘度が示すメモリー効果をマイクロレオロジー測定により調べた。ラポナイトは懸濁液作製後、室温に放置することにより、粘度が増大するエイジング現象を示すことが知られている。コンベンショナルなレオメーターを用いた定常ずり粘度測定により、一定ずり速度での粘度測定の場合、粘度はエイジング時間に対して単調に増加する。さらに、あるエイジング時間での粘度の値はずり速度の関数であることが見出されている。この定常ずり粘度測定の途中のあるエイジング時間において、ずり速度を増加(減少)させると、粘度の絶対値はステップ的に変化する。しかし、ずり速度を減少(増加)させ、はじめの値に戻すと、粘度の値はずり速度をはじめの値のままで途中で変化させなかった場合の曲線上に戻ることが観測された。このような記憶効果をマイクロレオロジーでは、粘弾性測定における周波数の途中での変化に対する応答として観測することを試みた。マクロとマイクロレオロジーでほぼ対応した結果が得られたが、詳細での差異も観測された。これらを精査することにより、ラポナイトのエイジング現象の本質が明らかとなることが期待される。
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