本年度は、昨年度に桜島有村坑道(国土交通省国土交通省九州地方整備局大隅河川国道事務所および鹿児島県が管理)に設置した歪み計の機器の調整、データ回収、データ分析を行った。
2018年3月に歪み計を埋設したのち4月に観測機器を設置した。孔井から信号線を伸ばし、歪み計3成分の信号を、データロガー(HKS-9550、計測技研)で24bit、100HzでA/D変換し、連続収録した。同時に、歪みセンサーに与える電圧、磁気センサー2成分の収録をおこなった。商用電源が利用できないことから、太陽電池と鉛蓄電池で電源を構成した。二月に1回程度の頻度でデータ回収を行った。
設置後のドリフトの影響もあったため、当初、歪み計の出力が短期間で飽和した。増幅回路の見直し、調整を行い、8月頃より連続収録を開始した。100Hzサンプリングのデータを1Hzにまでダウンサンプリングした。鹿児島地方気象台が発表している桜島の爆発・噴火リストと歪み記録を比べた結果、爆発や噴火直前に先行して発現する山体膨張を示す記録は、ノイズに埋もれて認められなかった。一方、比較的振幅の大きな地震動が歪み計の信号に現れていたことから、100Hzサンプリングのデータを有村観測坑道にある伸縮計の記録と比較した。その結果、周期約0.1-1秒で、歪み記録と伸縮計の記録はほぼ一致した。振幅レベルは約0.5 micro strainの信号は検知できることが分かった。今回は、1点のみの設置であるので、設置場所による違いがあるかはわからない。今後、長周期表面波等を解析することにより周波数毎のノイズレベルを明らかにすることで、今後、本歪み計が利用できる対象を絞ることができる。
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