研究課題
本研究では、大気や海洋の高解像度全球シミュレーションデータに対して、高時間分解能での特徴構造の抽出および追跡を行い、そこで発生する現象の効果的な可視化表現手法の開発を行った。特に、海洋における現象では海流や海洋渦、モード水を、大気における現象としては積乱雲や熱帯低気圧の時間変化を対象として事例研究を行った。特に、膨大な情報量のシミュレーションデータの可視化結果(静止画または動画)から、解析者にとって注視するべき領域またはタイミングを、自動的に強調する可視化表現プログラムを実装した。その結果、海流と海洋渦の相互作用の様子や、積乱雲または熱帯低気圧の発達・衰退時における詳細な描像、または雲形と降雨量との隠れた関係性を明らかにすることに成功した。スーパーコンピュータ上でシミュレーションを実行する際に、いったんストレージ上に保存することは、データI/Oのコストが大きいことが知られているが、本研究ではシミュレーションを実行しながら、ストレージに全データを保存することなくオンメモリで特徴構造の抽出からパターン分類、時間発展の追跡を行うことで、大きなコスト削減につながった。高時間分解能で処理を行うことによって、従来には困難であった、より微細な構造をもった流れの抽出または追跡につながった。これら一連の研究により、情報量過多な超高解像度シミュレーションの可視化および解析における課題に対して、一つの解決策を示したと言える。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件)
International Journal of Modeling, Simulation, and Scientific Computing
巻: - ページ: -
10.1142/S1793962319500181
Progress in Earth and Planetary Science
巻: 5 ページ: -
10.1186/s40645-018-0245-y
芸術科学会論文誌
巻: 17 ページ: 105-114