研究課題
北欧の流星レーダー観測から推定される中間圏・下部熱圏の両極性拡散係数(Da)が、冬期を中心に異常増大することを前年度までに見出し、各種観測データ(EISCATレーダー、ナトリウム温度ライダー)と比較して理論的な検証を進めた。中性温度変動に伴う現象ではなく、中間圏における電子温度がこれまでの常識よりもはるかに上昇することに伴う現象であることが明らかとなった。これは同時に、電離層観測専用装置であるISレーダーでも困難な中間圏の電子温度の観測を、はるかに安価な流星レーダーを利用して行う可能性を示すものである。また、同様の解析をドイツの研究グループが北欧に展開する流星レーダーのデータにも応用したところ、やはり異常増大が観測されており、極域の中間圏では普遍的な現象であることを確認した。さらに、北欧高緯度域に展開された複数の流星レーダーデータから、南北1000km以上に亘るDaの水平空間構造推定を行い、時々刻々と変化する空間構造を捉えた。オーロラや電離層電場が中間圏の電子温度に与える影響が可視化されたものと考えられる。このような極域中間圏における電子温度の水平構造の存在は、本研究により初めて明らかにされたものである。本研究により、今後の極域大気上下結合研究の推進に大きな貢献の期待できる研究手法の開発に成功したと考えている。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
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