断層活動中に断層ガウジが到達する温度を見積もるため、SAR法を用い、熱でOSLの感度が変化する性質の利用を検討した。花崗岩基盤岩石英の加熱実験では、室温から440℃まで加熱し、温度に対する感度変化を明らかにした。その結果、石英が320℃に加熱されたとき、OSLシグナルは完全に消失し、感度変化(T6)は0.85まで上昇した。感度変化の範囲、0.2‐1.2を用いるとこの値から断層ガウジの到達温度の推定が可能である。感度変化の程度は阿寺断層帯であっても試料による依存性が大きい。また、同じ地域の花崗岩基盤石英の感度変化は天然加熱がされていないにも関わらず、等価線量に応じた感度変化を示す。
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