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2016 年度 実施状況報告書

微小試料の岩石強度試験法の確立と沈み込み帯の強度断面

研究課題

研究課題/領域番号 16K13892
研究機関山口大学

研究代表者

坂口 有人  山口大学, 創成科学研究科, 教授 (80304666)

研究分担者 山口 飛鳥  東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (30570634)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード岩石強度 / 手法開発 / 地震発生帯
研究実績の概要

微小岩石試料の強度測定方法を開発し,それを地震発生帯掘削計画のカッティングス試料に応用し,南海地震震源域の強度プロファイルを復元するために,H28年度は針貫入試験の基礎実験を行った.この試験方法は針を貫入させることでModeIクラックが形成される強度を測定する試験である.単に針を貫入させるため,試料整形の必要がなく,材料の粘着力に依存するため一軸圧縮強度と対比可能な手法である.この手法は土質分野で開発されたが,野外で一軸圧縮強度を知る手法として用いられており,簡便な代替法との位置付けから,あまり精密な試験は行われてこなかった.そこでこの手法の高度化を試みた.
針貫入強度を精密に測定するために,フォースゲージと精密可動ステージにより荷重と貫入量を精密に計測し,荷重/貫入量のログを取得できるようにした.次にモデル材料としては岩石に近い粒状体としてモルタルを用いた.モルタルは水とセメントの混合比を変えることで任意の強度を持たせることができるため,水とセメント比を1:1から1:3まで変化させた供試体の一軸圧縮強度を測定したところ,約2MPaから8MPaに連続変化し,本研究のモデル物質に最適であることがわかった.この試料を用いて,1.針貫入試験における精密な荷重/変位挙動の確認,2.針貫入試験における貫入速度依存性,3.一軸圧縮強度と針貫入強度との対比を確認した.その結果,針貫入試験における荷重/変位パスは初期,線形上昇,降伏,再上昇の4つのステージに区分でき,二番目の線形変形ステージの荷重/変位比が物質強度に依存することがわかった.針の貫入速度10mm/分から300mm/分の範囲において速度依存性は認められなかった.そして上記の線形上昇ステージの強度指標を用いれば,一軸圧縮強度と針貫入強度とは正比例の関係があることが明らかになった.以上はいずれも新しい知見である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画が着実なものであったので,基礎研究部分では順調に進んだ.

今後の研究の推進方策

人工的な模擬物質を使った基礎実験で,針貫入試験の特性が明らかになった.しかし模擬物質であるモルタルと天然の岩石は粒子の凝集機構が異なるため,モルタル試験で判明した針貫入強度から一軸圧縮強度の換算式は天然の岩石に適用することはできない.そのために本年は様々な強度の天然の岩石の試験を実施して,針貫入試験法の天然の岩石の一軸圧縮強度換算式を得る.そしてそれを用いて南海トラフ地震発生帯のカッティング試料の分析から地殻強度プロファイルを得る.本年は天然物質の実験を行うため,不確定要素が多いので慎重に進める予定である.

次年度使用額が生じた理由

年度末までずれ込んだ実験が予想と違っていたため,予定していた実験に時間が必要となり,次年度に繰り越すこととした.

次年度使用額の使用計画

年度明けに試料の分析を行い,平成28年度にできなかった実験を実施する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] カッティングスからみた南海震源域上盤のテク トニック応力2016

    • 著者名/発表者名
      坂口有人.井上美季,小峯裕弥,林為人,多田井 修,畠田 健太郎,山口飛鳥
    • 学会等名
      日本地質学会 第123年学術大会
    • 発表場所
      日本大学(東京都 千代田区)
    • 年月日
      2016-09-12
  • [学会発表] Tectonic stress of the upper-plate crust above the Tonankai seismogenic zone2016

    • 著者名/発表者名
      Arito Sakaguchi, Miki Inoue1, Yuya Komine and Weiren Lin, Osamu Tadai, Kenkaro Hatakeda, Asuka Yamaguchi
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合連合大会2016
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県 千葉市)
    • 年月日
      2016-05-24
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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