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2017 年度 実績報告書

微小試料の岩石強度試験法の確立と沈み込み帯の強度断面

研究課題

研究課題/領域番号 16K13892
研究機関山口大学

研究代表者

坂口 有人  山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (80304666)

研究分担者 山口 飛鳥  東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (30570634)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード沈み込み帯 / 震源断層 / 針貫入強度 / 南海トラフ / 応力場
研究実績の概要

地震は地殻の弾性歪みの反発作用であり,断層周囲の応力分布は地震発生メカニズム理解に必須な情報である.南海トラフ沿いの震源断層は付加堆積物中に発達している.堆積物は応力によって歪み硬化する特性があるので,岩石強度から震源断層周囲の応力場推定を試みた.
紀伊半島沖の1944年東南海地震(Mw=8.2)の地震発生帯では,南海トラフ地震発生帯掘削計画が進行中である.海底下約5kmの震源断層を貫く計画であるが,そのうちコア試料が採取されるのは一部であり,ほとんどの区間では数mm程度の岩片試料のみが採取される.そのため整形作業なしに強度測定ができる針貫入試験を採用した.これは試料に針を刺して強制的に開口亀裂(いわゆるモードIクラック)を生じさせるものであり,試料の粘着強度が測定できる.この手法は,従来から土質工学分野にて簡便法として利用されており,その精密化を試みた.その結果,載荷と貫入量のログを詳細に解析する事で,従来法より高精度に測定できる事を見出した.この針貫入強度を一般的な一軸圧縮強度に換算するために,地表に露出する様々な堆積場や年代の堆積岩において,両方の強度試験を実施して,天然の砂岩における換算式を得た.この成果は,応用地質学的に実用性があるため特許出願を準備中である.
IODP南海トラフ地震発生帯掘削計画の第338次航海により採取された,震源断層直上の海底下1000mから2000mのカッティングス試料の強度を測定したところ,堆積岩の強度は深くなるにつれて上昇する事がわかった.ただし浅い層よりも深い層の方が上昇レートが高くなっており,単なる地層の重みによる固結では説明がつかない.おそらく更に深部の震源断層が固着しており,それによってプレート沈み込みによる剪断応力が上部層に影響を与えているものと考えられる.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] Paleothermal structure of the Nankai inner accretionary wedge estimated from vitrinite reflectance of cuttings2017

    • 著者名/発表者名
      Fukuchi Rina、Yamaguchi Asuka、Yamamoto Yuzuru、Ashi Juichiro
    • 雑誌名

      Geochemistry, Geophysics, Geosystems

      巻: 18 ページ: 3185~3196

    • DOI

      10.1002/2017GC006928

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Warm memories of the Shikoku Basin recorded within the Nankai inner accretionary wedge2017

    • 著者名/発表者名
      Rina Fukuchi, Asuka Yamaguchi, Hisatoshi Ito, Yuzuru Yamamoto, Juichiro Ashi
    • 学会等名
      JpGU-AGU joint meeting 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] Evolutionary process of the Nankai inner accretionary prism estimated by vitrinite reflectance analysis and zircon U-Pb age dating of deep borehole samples.2017

    • 著者名/発表者名
      Rina Fukuchi, Asuka Yamaguchi, Hisatoshi Ito, Yuzuru Yamamoto, Juichiro Ashi
    • 学会等名
      JpGU-AGU joint meeting 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] Structural evolution of the Nankai inner accretionary prism constrained by thermal structure and sedimentary age of deep borehole samples2017

    • 著者名/発表者名
      Rina Fukuchi, Asuka Yamaguchi, Hisatoshi Ito, Yuzuru Yamamoto, Juichiro Ashi
    • 学会等名
      AGU 2018 Fall meeting, New Orleans, USA
    • 国際学会

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公開日: 2019-03-07  

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