研究実績の概要 |
令和元年度は、東道後温泉源泉に地権者の了解を得て、道後温泉に設置済みのものと同機種のpH値測定器を設置し、泉温・pH値・気温を5分毎に同時測定する事を可能とした。また、11月から気圧計を両源泉観測値に設置し、予察的な補足観測を実施した。データ解析については、2016年12月から2019年12月までの道後温泉の3年間のデータをFFT法とAR法(Marple法,Marple, 1980)で解析した。その結果、昨年度に実施した約1年間の観測データ解析結果と同様な成果が得られたが、いくつか違いが見られた。昨年度の解析では、源泉のpH値, SB(system battery), ST(system temperature), TS(time sensor) のうち、FFT解析では PH, ST に、1日周期(M1)、1/2日周期(M2)、1/3日周期(M3)、1/4日周期(M4)のなどの倍潮が明瞭なスペクトルピークとして検出されていたが、3年間のデータ解析では、さらにそれらが明確な強いピークとして示されると共に、前回と同様に1/5日周期(M5)~1/8日周期(M8)も検出された。powerの振幅は前回の解析では2桁程度であったが、今回の解析では6、7桁にもなった。これらのことから、pH, ST には日周帯以下の潮汐応答(高調波)が明確に存在することが明らかとなった。2020年度中には、これまでの成果を観測事実として報告にまとめる予定である。また、気温観測に用いるセンサーの気圧依存性は高調波を示す要因になりうるため、気温の潮汐応答が原理的なものか、気圧依存性によるものかを識別する必要がある。加えて、源泉pH値の変動が地殻変動と呼応して変化するメカニズムについて解明する必要があり、2020年度に於いては、引き続き自主経費で源泉成分分析を行い、温泉成分変動メカニズムの検討を予定している。
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