| 研究課題/領域番号 |
16K13896
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| 研究機関 | 東京大学 |
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研究代表者 |
山崎 俊嗣 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (80344125)
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| 研究分担者 |
鈴木 庸平 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (00359168)
七山 太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 上級主任研究員 (20357685)
清家 弘治 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (20645163)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | 走磁性バクテリア / 磁鉄鉱 / 赤色粘土 / メタゲノム |
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| 研究実績の概要 |
海底堆積物中に含まれる生物源磁鉄鉱について、南鳥島周辺の赤色粘土において、白亜紀のある時期に弾丸状の形態を持つものの割合が増加し、その時期に海底がやや還元環境であったと推定されることを昨年度報告したが、南太平洋の赤色粘土においても同様の現象が起きていたことが新たに判明し、グローバルな環境変動を示していることが明らかとなった。また、日本海の海底堆積物において、硫酸還元が起きるような環境下で生物源磁鉄鉱が溶解する過程を、透過電子顕微鏡を用いて観察した。
海底堆積物中に普遍的に存在する生物起源磁性粒子の形成に関与する微生物を特定するために、16S rRNA遺伝子配列のアンプリコン解析とメタゲノム解析を、日本海堆積物と南マリアナトラフの金属硫化物チムニー試料を対象に行った。弾丸状形態の磁鉄鉱粒子の形成にNitrospirae門の細菌が関与していることを裏付けるデータが得られ、ゲノムの特徴も既知の磁性細菌とは著しく異なることを明らかにした。
気候変動に起因する海底堆積物における酸化・還元の変動に伴う化学組成変化、走磁性バクテリアの生息及び生成される磁鉄鉱の形態、底生生物活動による堆積物の生物擾乱、堆積残留磁化の獲得などの関係を研究するため、西部赤道太平洋から採取された２本のピストンコア試料について、XRFスキャナーを用いた元素マッピングを実施した。
昨年度までの研究で明らかとなった、弾丸状形態の磁鉄鉱を作る走磁性バクテリアは海底堆積物中の酸化・還元境界付近に多く生息するのに対し、正八面体状の磁鉄鉱を作る走磁性バクテリアは海底面直下の酸化環境にも存在するという研究成果を、論文としてとりまとめた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
個々の研究項目で興味深い結果が得られていることや、これまでの研究成果を一流国際誌に論文として発表することができたことから、おおむね順調に進展していると判断する。
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| 今後の研究の推進方策 |
西部赤道太平洋の堆積物コア試料について、XRFスキャナーで得られた元素マッピングデータの解析を行い、海底の環境変動と、走磁性バクテリアの生息及び生成される磁鉄鉱の形態、底生生物活動による堆積物の生物擾乱、堆積残留磁化の獲得などの関係を考察する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
これまでの研究の結果を踏まえ、XRFスキャナーを用いた元素マッピングを行うことが新たな研究の展開をもたらすと判断し、高知大学海洋コア総合研究センターの平成３０年度下期の全国共同利用に申請を行った。マシンタイムの事情等により、測定は当初の研究実施期間の末となった。そのため、このデータ解析と、底生生物活動や生物源磁鉄鉱との関係等の考察を次年度に行う必要が生じた。岩石磁気実験の一部を見直し、そのための費用を確保し繰越とした。これは、データ解析や岩石磁気分析の消耗品、得られる成果の発表等に用いる計画である。
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