中国北東部下のマントル遷移層には停滞太平洋スラブが滞留しており、また顕著に水に富んでいることが地球物理学的観測によって明らかにされている。そこで本研究は、遷移層の含水量の時間変化(=停滞スラブの脱水フラックス)を明らかにすることを目的とし、スラブ直上の中国北東部~東シナ海に分布する60 Ma~0 Maの火山岩の解析を行った。その結果、ソースマントル含水量に有意な時間変化が見られなかったため、脱水フラックスを推定するには至らなかったが、60 Ma~0 Maにわたってマントル遷移層は水に富んでいたことなどを実証的に明らかにし、さらに停滞スラブ上の火成活動の要因を包括的に説明するモデルを提示した。
|