研究課題
地球核は,液体である外核と固体である内核からなる.核は主に鉄からなり,それに加えて軽元素が含まれる.本研究では液体である外核の物理的性質を明らかにするために,当初高温下での鉄系液体の構造測定を行なうことを計画していたが,鉄を主成分とする金属ガラスの構造測定と密度測定を行ない,まず測定・解析法の確立を行なう.非晶質物質測定の前段階として結晶性試料を用いて密度測定法の確立を目指す.その後室温下での非晶質物質の密度測定を行ない,手法を確立できた暁には高温下での液体の構造と密度測定へと応用していく.非晶質物質の密度を求めるために,ベール・ランベルトの法則を利用した.試料に入射するX線の強度と透過したX線の強度を測定し,試料厚みと質量吸収係数から密度を求める.結晶試料であるFeを例に密度測定を行なった.前年度に参照試料として最適と判明したKBrとRbBrを用いた.3つの試料室を用意した金属ガスケットに,測定試料であるFe,参照試料であるKBrとRbBrを封入して測定を行なった.XRDによって各試料の密度を測定した.その後,入射・透過X線強度を測定し,ベール・ランベルトの法則に基づいて密度を求めた.X線粉末回折法から求められた密度と比較して2%以内の誤差で一致した.本手法の精度を確認できたので,鉄系金属ガラスやZr系金属ガラスの密度測定を同様に行なった.それぞれ球形と板状のものであるので,直径や厚みを事前に計測し1次元,2次元の二通りで透過率を測定した.どちらの結果も誤差の範囲内で密度が一致した.
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Comptes Rendus Geoscience
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10.1016/j.crte.2018.11.003
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American Mineralogist
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High Pressure Research
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10.1080/08957959.2018.1499903
10.1016/j.crte.2018.04.002