研究課題
本研究の目的は、レーザー誘起ブレークダウン分光分析 (LIBS)とレーザーアブレーション ICP 質量分析 (LA-ICPMS)を組み合わせたタンデムシステムにより、様々な地質試料中の揮発性元素、主要元素、微量元素を同時定量するプロトコルの開発にある。昨年度は「LIBSによる主要元素、揮発性元素のスペクトル採取及び解析」、「LIBSとICP-MSを組み合わせた主要元素ー微量元素定量分析法」の立ち上げを行った。揮発性元素に関しては、H2OやCO2濃度が先行研究により報告されている珪酸塩ガラス試料を利用して、各元素の検出に最適なセッティングを探索した。その結果、 水素(H)に関してはマトリックス元素の影響が少ない最適な検出条件が得られたが、炭素(C)に関しては妨害によりピーク検出が困難であることが判明した。従って、現有の検出系ではH2OーCO2同時分析は困難と判断し、炭酸塩鉱物を含む薄片岩石試料のマルチスポット定量分析は断念した。そこで代替として、珪酸塩ー炭酸塩ーリン酸塩鉱物を様々な程度に含む岩石試料に応用可能な主要ー微量元素濃度の簡易迅速分析手法の立ち上げに着手した。前年度に実施した実験から、粉末を加圧成形した試料のアブレーションは難しいことが判明していたため、ガラスビードサンプラーを設備備品として導入し、四ホウ酸リチウムにより希釈されたガラスビードを利用する手法を採用した。(1)蛍光X線分析による主要元素測定の後に、希硝酸に溶解させてICP質量分析により微量元素を測定する手法、(2)LIBSによるLi/Ca比測定と当時にLA-ICPMSにより微量元素を測定する手法、の2つの分析プロトコルを立ち上げ、蛇紋岩、チャート、砂岩、炭酸塩岩、リン酸塩岩の地球化学的研究への応用を順次進めている。また(1)の詳細に関して日本地球惑星科学連合2018年大会にて成果報告を行う予定である。
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