研究課題
地球の下部マントルは主要にブリッジマナイトで構成されている。このブリッジマナイトは、約120 GPaの圧力で高圧相であるポストペロフスカイトに相転移することが2004年に明らかにされた。ポストペロフスカイトはマントルと核との境界層であるD”層の主要構成物質と考えられている。従って、ポストペロフスカイトの流動特性を解明することは、マントル対流、ひいては全地球的ダイナミクスに大きな制約を与えることになる。流動特性の解明には、変形量と応力の関係からの粘性率の推定や、変形場での微細構造の観察が鍵である。そこで、高圧下での変形実験が直接的な手法となる。上述したように、ポストペロフスカイト相は、約120 GPa以上のみで安定であり、そのため既存の変形装置では実験を行うことができない。平成28年度には、ダイヤモンドアンビルを改造した超高圧変形装置の開発を行い、当年度末に導入に至った。平成29年度には、導入された変形ダイヤモンドアンビル装置を用いて、使用予定であった加熱装置の準備が遅れていたため、室温下での実験を行った。試料には、室温下においても塑性変形が可能な金属を用いた。約40 GPaでアンビルを回転させ変形を起こした。回転角は大変形が期待できる360度である。回収試料に対する電子顕微鏡観察の結果、変形していることは確認され、高圧下での変形装置として有用であることが確認できた。今後は、加熱装置と組み合わせることで、高圧高温下での変形実験を行って行く。
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