研究課題/領域番号 |
16K13908
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
神崎 正美 岡山大学, 惑星物質研究所, 教授 (90234153)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 分光法 / ブリルアン散乱 / 流体物性 |
研究実績の概要 |
本研究では、本年度に光ビート法を用いたブリルアン散乱分光システムを作り、基本システムを確立することと、常圧での液体等の測定を実施し、その次のステップで顕微法として展開して、ダイヤモンドアンビルセル高圧装置でも使えるようにする計画であった。本年度はまず、光ビート法の測定に使用する予定のデジタルオシロスコープを本研究費で購入して、所定の性能を有することを確認した。また、予算の関係から除振台は買えなかったので、光学部品等を設置するために少し丈夫なテーブルとその上に置くブレッドボードを使って、光学系やPCを設置することができるようにした。また、実験室としては空いている旧医療センター建物3階の部屋を使うようにした。そして必要な光学部品は購入し、ブルリアン散乱に必須の縦単一モードのレーザー(532 nm)は既存のものがあるので、それを使うことにした。本年度の研究への準備をまず整えることができた。 この実験室は旧医療センター当時のままであり、エアコンはほとんどの部屋からは取り外されていた。そのため、床や壁を含め、リノベーションの予定があり、その終了後で本格的に実験を進めるつもりであったが、10月21日に震度5強の地震が発生した。本研究で使用する予定の機器や部品等には大きな被害はなかったが、その後の対応に時間を取られた。さらに、リノベーションは保留となり、実験室の整備はおろか、居室にもエアコンが設置できない状況となった。従って、本研究の方は進めることが困難な状況となった。そのため、当初本年度の計画であった、基本システムの確立と液体等の測定を年度内には完了することができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
我々の三朝キャンパス内では一昨年度末に三朝医療センターがその機能を停止して、昨年度からその建物が惑星物質研究所の所有となった。申請者は昨年度の夏前からこの建物に研究室をいち早く移動することになり、居室を移動して、実験室の移動を開始していたところである。また、そのために実験室として使う予定の部屋等のリノベーションを実施する予定であった。その実験室の1つで本研究を進める予定であり、装置部品などは揃えており、リノーベーションの実施を待っているところであった。しかし昨年10月21日に震度5強の地震が三朝町内で発生した。申請者の保有機器への影響はほとんどなかったが、復旧が最優先となり、リノベーション計画も白紙となった。そこで、リノベーションを待つことなく、研究を進めるために、必要不可欠な実験室および居室へのエアコンの設置要求を行なっていたが、それも延期となり(4月末の現時点でもまだ設置されていない)、ほぼ外気温と変わらない状態で冬場に実験を行うことは無理であり、本研究で予定されていた実験は4月以降に延期している。このような現状から、「遅れている」と自己評価した。現在、研究を再開しているところである。 なお、同時進行中の基盤研究Bによる研究では、使っている装置自体がかなり大掛かりであり、医療センターへの移動は後回しとなっていたため、不幸中の幸いでこのような問題は生じず、こちらはほぼ順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように地震の影響で計画の実施が遅れているので、まず実験室への最低限のエアコン設置を優先的に行うように要求する。現在4月後半であるが、これから梅雨の前までは エアコンがなくても実験を進めることはなんとかできるので、この時期に研究を集中して、本来行う予定であった研究を実施する。本研究では装置自体を自作するが、必要な装置や部品は既に揃っており、より時間をかけて計画を実施するだけであり、遅れを取り戻すことができると考えている。ただ、現時点では復旧等の予算がどうなっているのかがまだ分からず、建物のリノベーションができるかどうかは未定であり、今年度後半の予定が立てづらい状況にある。 実施には昨年度は人的な体制にも問題があった。申請者一人が実施するために、このような災害が起きると、その対応に時間を取られるために研究が止まってしまう。そこで、現在、ポスドク1名を採用する予定で研究所内で審査を進めている。その候補者はブリルアン散乱システムをほぼ自力で立ち上げた方であるので、測定方式自体はかなり異なるが、もし採用されたならばその方の協力を得ることができる予定であり、申請者が今後復旧・復興関係で時間を取られようとも本研究内容を続けて進めていけると考えている。
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