前年度に起こった地震の影響で本課題で使う予定の実験室の整備が非常に遅れてしまった。本年度も地震からの復旧が最優先であったため、地震の影響を直接受けていない実験室の整備のための予算はなく、前年度は居室でさえ冬季エアコンなしで過ごす状況であった。エアコンの新規購入もできず、当初予定していた部屋の整備は諦めて、エアコンがある部屋を別に確保して、そこに作業机にブレッドボードを置き、その上に装置を組むことにした。 しかし、今度はレーザー装置の問題が発生した。既存の532 nm固体レーザーを本研究で使用する予定であったが、顕微ラマン分光法装置で使っているアルゴンイオンレーザーが故障し、532 nmのレーザーをその代わりに顕微ラマン分光法装置で使う必要が生じた。顕微ラマン分光法ではちょうど6週間滞在のインターン学生および半年滞在の外国人学生などが頻繁に使用するため、この措置を取らざるを得なかった。そのため、本研究の実施はさらに遅れることになった。幸い、現在同時進行中の基盤研究Bで、488 nm固体レーザーを購入することができ、顕微ラマン分光法にはそのレーザーを使うことで、532 nm固体レーザーを元に戻すことができた。しかし、顕微ラマン分光法でこのレーザーを使っている時に、動作不安定であることが分かった。長時間の動作において波長がずれるか、出力が突然落ちることが観察された。現在は外部ファンを使って冷却しながら、調子を見ながら使っている状態である。 このような様々なトラブルにより、本来予定されていた研究が進んでいないが、現在再度光学系をセットアップして、ブリルアン散乱シグナルが観察できるように調整を続けている状況である。本年度が最終年度であるが、本課題は申請者の重要な研究課題であり、今後も初期目的が達成できるように研究を続けていくつもりである。
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