貝殻やサンゴ骨格など生物がつくる炭酸カルシウムの骨格を分析することで過去の環境を復元することが可能である.炭酸カルシウムの「酸素同位体比」という指標は,形成時の水温を復元するための強力な指標としてこれまで用いられてきたが,最も重要な問題が塩分の影響を分離できないことであった.本研究では,炭酸カルシウム骨格に微量に含まれる有機物に着目し,そこに含まれる「酸素同位体比」や「炭素同位体比」に着目することで塩分の影響を分離する手法の開発を試みた.ムラサキイガイの殻に付着した有機物の皮の「炭素同位体比」の分析手法を確立し,指標としての有用性を評価した結果,河川流入量の良い指標となることを明らかにした.
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