研究課題
本研究は、活火山から大気中に放出された噴煙の主成分である水蒸気の安定同位体比を定量することで、その火山の噴火タイプ、すなわち水蒸気爆発か、それともマグマ爆発かを直接的に判別する新手法を開発することを最終目標としており、本研究では、そのために必要となる分析システムの開発を実現する。具体的には、真空容器を用いてフィールドで簡便に大気(噴煙)試料を採取し、実験室で分光法により水蒸気の安定同位体比を分析する新分析法を開発する。年度当初は「測定システムの構築」、「従来法との比較および測定システムの改良」、「共存物質の影響評価と対策」、「次年度のフィールド観測準備」の以上4項目について研究を行う予定であったが、本研究の代表者が、本申請と同時に、分担者として申請した別の研究課題が、年度途中に文部科学省の次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトに採択され、一部研究内容が重複することとなったため、「測定システムの構築」と「従来法との比較および測定システムの改良」は主に次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトの範疇で実施することとして、本研究では「共存物質の影響評価と対策」および「次年度のフィールド観測準備」の二項目に集中して、これを当初計画よりも高度化する形で実施した。その結果、測定システムの構築が早期に完了し、また共存物質の影響は無視出来ることを確認した。次年度に実施予定のフィールド観測に必要となる容器や機器の準備も、当初予定通り完了した。
2: おおむね順調に進展している
次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトにも同時に採択されて総予算が増えたため、当初予定よりも充実した測定システムを構築することが出来た。また次年度のフィールド観測に使用する試料容器は、当初予定よりも数を増やすことが出来た。ただ同プロジェクトの範疇で実施予定の「従来法との比較および測定システムの改良」は主に次年度の予算で実施予定となっている関係で、年度内に作業を完了することは出来なかった。ただ次年度の観測実施までに終わらせる目処はついているので、問題無い。
フィールド観測・試料採取、試料測定・一般大気由来の水蒸気の補正、検証・成果発表の以上3項目について研究を行う。フィールド観測・試料採取は、富山県の立山地獄谷の噴気孔(ただし火山の活動度の関係で変更の可能性あり)において、噴煙試料の採取を噴気孔周辺で行う。同時に、噴気孔において従来法(低温凝縮)を用いて水蒸気試料の採取を行う。噴煙試料について新手法を用いた分析を実施して、両者の比較を行う予定である。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
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