活火山から大気中に放出された噴煙の主成分である水蒸気(H2O)の水素および酸素の安定同位体比(2H/1H比と18O/16O比)を定量することで、その火山の噴火タイプ、すなわち水蒸気爆発か、それともマグマ爆発かを遠隔より直接的に判別する新手法を開発した。具体的には、真空容器を用いてフィールドで簡便に大気(噴煙)試料を採取し、実験室で分光法により水蒸気の安定同位体比を分析する新分析法を開発した。さらに、噴気孔にアクセス可能な噴気地帯で、開発した新手法を用いて噴煙中の水蒸気の同位体比を測定し、噴気孔で直接採取した水蒸気の同位体比との比較を通じて、本手法の有効性を確認した。 なお研究開始当初は「測定システムの構築」、「従来法との比較および測定システムの改良」、「共存物質の影響評価と対策」、「フィールド観測による検証」の4項目すべてについて研究を行う予定であったが、本研究代表者が、本申請と同時に分担者として申請した別の研究課題が、本研究の採択・開始後に文部科学省の次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトに採択され、一部研究内容が重複することとなった。そこで「測定システムの構築」と「従来法との比較および測定システムの改良」は主に次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトの範疇で実施することとして、本研究では「共存物質の影響評価と対策」および「フィールド観測による検証」の二項目に集中して、これを当初計画よりも高度化する形で実施した。
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