太陽系内始原惑星物質の母天体上での水質変成過程は、最初期に起きるイベントの一つである。本研究では、水質変成の痕跡のある5つの隕石について、段階的酸処理を施した試料から化学分離したバリウム同位体等の精密測定を行い、太陽系外からの複数の原子核合成成分が存在すること、これらの成分が付加することでCs-135による壊変生成物の存在が判断できなくなることを同位体化学的に検証した。本研究に用いた試料の一つ、Tagish Lake隕石についてはイオンマイクロプローブを用いた局所分析による個々の微小鉱物のバリウム同位体測定を試みたが、Cs-135の壊変によるBa-135の過剰成分は発見できなかった。
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