研究課題
本研究では,「の」の字型に湾曲させた円筒状のスネール・ターゲットの内面に,高強度レーザーを照射することで円環状の電流を駆動し,それにより10キロテスラに達する強磁場を発生させることを目標とする.平成29年度は大阪大学レーザー科学研究所にある世界最大のPWレーザー装置LFEXを用いて実験を行った.LFEXレーザーの1ビーム(350 J/1.5 ps)をスネールターゲットの照射に用い,もう1ビームを磁場計測用のプロトンビーム発生に利用した.スネールターゲットにLFEXレーザーを照射した場合,プロトンビームの空間パターン中に大きな空洞が現れ,空洞のサイズから磁場の強度を求め,本計測法の時間ゲート幅である6 psでの平均値として2.3 kTの磁場が形成されていることを確認した.また,スネールターゲット中では,磁力線の向きが反対を向いていることも確認できた.この反平行な磁場が磁気リコネクションを起こすことを期待し,リコネクションに伴うアルフベン波によって粒子が加速される方向に,プロトン検出器を設置した.実験の結果,スネールターゲットの軸方向の両側に向かって,6 MeVのプロトンが放出されていることが確認され,光速の約10%の速度を有するアルフベン波が磁気リコネクションによって駆動されている可能性が示唆された.また,反平行磁場の境界に沿って強い誘導電流が駆動され,それによる高効率なイオン加速も観測された.3次元のParticle-in-Cellシミュレーションを行い,実験で観測された結果を定性的し,実験では観測出来ていないミクロスケールの現象を明らかにした.研究結果の詳細は早急に論文等として発表する.
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
JETP Letters
巻: N/A ページ: 1 - 5
10.1134/S0021364018060012
Physics of Plasmas
巻: N/A ページ: TBD
http://lf-lab.net