研究課題
本研究では,高強度レーザーを用いて発生する高温・高圧力状態を利用し,物質状態の変化,とりわけ解離に着目する一連の研究を行った.本研究では二酸化炭素に着目し,約10万気圧以上で炭素と酸素に解離するという先行研究からの着想の下,レーザー生成衝撃波による加圧を利用した実証研究を行った.実験では,大阪大学レーザー科学研究所の激光II号レーザーを使用した.激光II号レーザーは基本的に共振器(増幅器)のみの構成のレーザーであり,フラッシュランプの点灯時間(~0.5 ms)のパルス幅で発振するが,このパルス幅条件下では上記の高圧力状態は得られない.そこでこの共振器に大口径のポッケルスセルと偏光子を導入し,パルス幅を約100 nsに圧縮することにより,GPa領域の圧力を得た.レーザー装置の改良とともに,計測系の開発も同時に実施した.衝撃波パラメータ計測のため,速度干渉計(VISAR)を導入し,100 nsスケールでの試料の速度を測ることが可能になったほか,高速度カメラ(2次元)により照射面の時間変化も得られるようになった.また,二酸化炭素の解離計測に必要なガス分析に関しては,予算の都合により独自に準備することは出来なかったが,学内の他の研究室より借用することによって全体の計測システム構築は完了した.レーザーシステムの要であるポッケルスセルにダメージが入ることにより,その出力が制限され必要なエネルギー条件での実験が不可能となった.その後,別装置の解体に伴って同等の代替品を入手することが可能となったため,二酸化炭素の解離実験に関する技術的な課題はクリアできたので,今後これらの装置を用いることにより,様々な圧力条件でのデータ取得を実施する予定である.
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Diamond and Related Materials
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