平成28-29年度の2年間で,新たに着想した可変ピッチヘリカルアンテナの有用性を示すことを目標として,研究を実施した.初年度に想定外の事態が発生し,計画の変更および遅延が生じ,期間内での実績はいくらか限定されることとなった. 平成28年度に材料調達によって自作した可変ピッチヘリカルアンテナは,模擬実験装置に取り付けられ,手動ながらも軸方向長さを変化できる構造を実現した.これを用いてプラズマ生成実験を行った.同一アンテナの2種類の軸方向長に対してアルゴンプラズマを生成し,方向を含めた外部磁場強度変化および高周波電力変化に対して密度(プローブのイオン飽和電流)測定を行った.それぞれの依存性はアンテナ長に対して異なった特性を示し,アンテナ長の効果を確認した.特に,磁場強度に比例して密度が増大する点は,波の分散との関係が示唆される.一方,短いアンテナ長に対して高い密度が期待されるが,これは必ずしも合致せず,他の条件に依存する.これらのうち,初期結果分については,PLASMA Conference 2017で発表した. このプラズマ生成実験の条件下で,プラズマ生成領域の高周波磁場分布を測定した.ライトヘリカルアンテナの特性を期待して,外部磁場の向きに対する変化に注目した.測定結果では,測定の信頼性(誤差)の範囲内での明瞭な特性変化は確認できなかった.測定された高周波磁場は,アンテナ近傍電磁界によるものが支配的で,励起波の電磁界が相対的に弱いものと予想される. 期間後も実験は継続して行っている.高周波磁場分布の測定結果より,高周波電力の増大が必要と判断される.これらの結果を昨年度対外発表以降の結果と合わせて,平成30年8月開催予定の国際会議で発表する計画である.
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