光電効果により光電面から放出される電子のエネルギー分布を利用するコンパクトな分光素子製作に向けた基礎データの取得を目指した。光電子増倍管を改造し,多段電極(ダイノード)への種々の印可電圧配分での光電子エネルギーの波長依存性の観測を試みた結果,第1ダイノードへの電圧印可なしでも光電子の検出が可能であることを見出した。また,最大のノイズ源と予想していた印可電圧のゆらぎ(0.05 V)よりも光電面からの熱電子放出による信号ゆらぎ(1 V)の方が大きいことが判明し,分光素子製作を実現するためには,熱電子パルスと光電子パルスの分離を行う必要があることが明らかになった。
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