研究課題/領域番号 |
16K13953
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
吾郷 友宏 茨城大学, 工学部, 准教授 (90466798)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アルミニウム / アルモール / ポルフィリン / 金属錯体 / 共役系 |
研究実績の概要 |
本研究では、アルミニウムと共役電子系を複合化した含アルミニウム共役錯体を用いた新規な物性・反応性開拓を目的としている。平成28年度の研究では、申請者がこれまでに見出したアルマシクロペンタジエン(アルモール)を用いた錯体形成を検討したところ、鉄カルボニルとの反応によってアルモールがパイ配位した鉄錯体が定量的に得られることを見出し、その構造をX線結晶構造解析により明らかにした。本錯体はアルモール環がブタジエン配位子として鉄に配位した構造を有し、アルミニウムと鉄の間には結合は見られなかった。本錯体とピリジンなどのルイス塩基との反応では、アルミニウム上にルイス塩基が配位した錯体が生じることが分かった。鉄に結合しているカルボニル配位子の交換についても検討を行ったが、光照射または加熱条件でホスフィンを作用させたところ、アルモール配位子が解離することが見出された。触媒反応への利用にあたっては、アルモール配位子と遷移金属との結合を強める必要があると考えられる。 平成28年度から研究機関が現所属の茨城大学に変更となり研究環境が大きく変わったため、これまでの研究に加え空気や水に対し安定なアルミニウム共役錯体についても研究を開始している。具体的には、電子不足なアルミニウムポルフィリン錯体の開発とルイス酸としての応用について検討を行っており、新規なカチオン性アルミニウムポルフィリン錯体の発生に成功した。現在、本カチオン性錯体の単離構造決定、および触媒反応への利用を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年度から現所属の茨城大学に異動となっており、研究環境立ち上げに時間を要した。特に本研究で必須である高反応性化学種の取り扱いに必要な実験設備が無く、特殊ガラス器具を始めとする実験装置の導入が必要であった。平成28年度内に必要な実験設備の整備がほぼ完了したので、平成29年度から本格的に研究着手が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究で新規なアルミニウムポルフィリン錯体の合成に成功しており、本錯体の単離構造決定を進めるとともに、ルイス酸触媒への利用を検討する。特に、アルミニウムとフッ素の高い親和性を活かして、安定結合の一つであるC-F結合の活性化による分子変換反応への利用と触媒化を検討する。なお、上述の通り現所属である茨城大学にはグローブボックスを始めとした高反応性化学種取り扱い設備が不足しており、空気や水に比較的安定なアルミニウム錯体を用いた研究を主に推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度より茨城大学に異動となり、研究に必要な実験設備の導入が必要となったが、特殊ガラス器具の一部の製造・導入が予定よりも遅れたため、発注・購入を次年度に行うこととし、必要な予算を次年度使用分として繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
上記のとおり、本研究計画に必須である特殊ガラス器具の発注を平成29年度初頭に行う。平成28年度より繰り越した予算と合わせて、真空ラインなどの不安定化学種取り扱いに必須であるガラス実験装置の導入を行う。
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