アルケンは平面構造を有しており,その分子平面の垂直方向に拡がるπ軌道は,光エネルギーの吸収・放出,電子授受に関与し,分子・物質の機能発現の源である.近年,フラーレンやカーボンナノチューブに代表される局面π共役電子系を持つ炭素材料が次世代の機能性材料として注目されている.その理由としては,局面π電子系から生まれる特異な電子授受能力と低い励起エネルギーがあげられる.本研究では,これまでにその合成が未到達のビシクロ[1.1.0]ブト-1(3)-エンに着目し,その歪んだπ電子系化合物の電子物性に関する情報を得た.
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