本研究では,キラルケイ素ラジカルについての基礎学理を探求するとともに,それをキラルケイ素分子化学の発展に利用することを目指して種々検討した.まず,キラルケイ素ラジカル前駆体の合成について,アルコキシシランの立体選択的求核置換反応によって多様なキラルモノアルコキシシラン,キラルシラノール を不斉合成することに,また,シラシクロペンテンオキシドのβ-脱離反応によってシラシクロペンテノール誘導体を不斉合成することに成功した.さらに,これらの手法で得られたキラルケイ素分子をキラルヒドロシランに立体特異的に誘導することに,またそれからキラルシリルラジカル種を調製することに成功した.
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