本研究成果の学術的な意義としては、近年発展の目覚ましいC-H結合活性化を活用した軸不斉ビアリール化合物の触媒的不斉合成に成功した点である。これまでに報告されている軸不斉化合物の触媒的不斉合成の多くは、ハロゲン、および擬ハロゲンによって事前に活性化された基質を用いて行われる場合がほとんどであったのに対して、活性化されていないC-H結合を直接官能基化しながら軸不斉ビアリールを触媒的不斉合成により合成した点において大いに意義がある。また、その結果、得られる軸不斉ホスフィノビアリールは、工業的にも重要な化合物であり、社会的にも意義が認められる。
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