パルスレーザー堆積法によりRuO2薄膜を合成した結果、高圧相であるHP-PdF2型RuO2の多結晶薄膜を得ることができたが、エピタキシャル薄膜の合成は困難であった。その一方、イットリア安定化ジルコニアおよびサファイア単結晶基板を用いてRuO2薄膜を合成すると、最安定相であるルチル型RuO2エピタキシャル薄膜を得た。ここでバッファー層を導入することにより、約4%もの非常に大きな格子歪を実現することができ、抵抗率も大きく変化することがわかった。この大きな格子歪の印加法を利用して、RuO2や他の白金族酸化物薄膜の物性を制御可能であることが期待される。
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