本研究は、ラセン型環状三核Pd(II)錯体の自己集積化を利用した、多孔性キラル結晶の合成法を確立し、基質の特異性と位置・面選択的分子吸着特性を最大限に生かした不斉反応場を構築することを目的とした。ナノチャネル型結晶内の鏡像体関係にある基質結合部位へ不斉補助剤の吸着を利用し、プロキラル分子の面選択的吸着に成功した。また、このチャネル内で光誘起オレフィン移動反応が起こることを見出した。さらに同Pd(II)錯体が、糖類存在下でナノポケット型のホモキラル多孔性結晶を生成することに見出した。この結晶を用いた不斉Diels Alder反応を行い、低光学収率ではあるが不斉誘導が起こることを見出した。
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