常温・常圧で空気とメタンからメタノールを作り出すことに世界で初めて成功した。本研究により、二酸化塩素光照射することによって得られる化学種(塩素ラジカル、一重項酸素)をフルオラス溶媒中でメタンガスと空気を作用させることにより、ほぼ100%の収率で液体燃料であるメタノールとギ酸へ変換できることを発見した。これまで、大部分が燃焼による熱エネルギーとして消費されていたメタンガスが、これにより有用な化学物質へ変換できる方法が確立されたことになる。 メタンは化学的に極めて安定な物質なので、メタンを酸化するためには、非常に強力な酸化剤が必要と言われていた。しかし、メタンに比べ生成物のメタノールの方がより簡単に酸化されるためにメタノールとして取り出すことができず、メタノールが酸化された二酸化炭素や一酸化炭素に速やかに変換されてしまう問題があった。そこで本研究では、具体的には、フルオラス溶媒と水の二相反応系を考案し、メタンや酸素などのガスを多く溶かす性質を持つフルオラス溶媒の性質を利用した。反応の手順は、まず、水中では亜塩素酸ソーダと酸が反応し二酸化塩素が発生、その後、フルオラス溶媒に移動した二酸化塩素にメタンを反応させた。生成物のメタノールやギ酸は、フルオラス溶媒に溶けにくく、速やかに水中に移動し、これらが二酸化炭素などへ酸化されることなく生成物は次々に水中に濃縮されることを突き止めた。 本研究成果により、貴重な天然炭素資源の飛躍的な有効活用、および、エネルギー問題解決に繋がる技術となることが期待される。
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