研究課題
本研究では、モノマー重合/ポリマー脱重合スイッチング系の確立のために、様々なクロモフォアおよびスペーサーを用いてデザインされた多数のモノマーを、Wittig-Horner反応をベースに合成する。ポリマーポリカチオン塩の生成効率や可逆性に基づき設計指針を精密化した後、クロモフォアおよびスペーサーの不斉要素を伝播することで、酸化種のカチオンユニットに新たに生じる不斉中心の立体配置制御やキロオプティカル特性調査を行う。次いで、分子変換がバルク特性へ直接的に反映し易い媒体である水系溶媒中でも、モノマー/ポリマースイッチングを行える分子の設計へと進み、ミセルや凝集体の形成/可溶化を酸化還元で制御できる系を開発する。また、酸化還元とは独立した外部刺激によって、スペーサーの形状が変化するようにデザインすることで、酸化に際して起こる結合形成を、分子間ポリマー化から分子内環化へ切替え可能な高度なスイッチング機能を持った系へと展開する予定であり、具体的な研究内容を以下の4つとする:1)モノマー重合/ポリマー脱重合スイッチング系の創成、2)酸化種のキラリティ制御とキロオプティカル特性調査、3)水中でも相互変換可能な系の開発とポリマー種の集合挙動調査、4)分子内環化/分子間ポリマー化の切り替え可能な系の創成。本年度は、特に1)2)についての調査を主に実施した。また、連結後の修飾の可能性を調べる目的で、モノマー/ダイマーの系を用いた研究を合わせて実施した。1)に於いて、プロトタイプの確立にあたりモノマーのデザインは重要であり、a)効率の良い分子間カップリング、b)カチオン部位の安定性、c)ポリマーポリカチオンの溶解性、をチェックポイントとしてモノマーの評価を行った。
2: おおむね順調に進展している
研究計画に沿った結果が得られた。
H29年度には、上記3)の水中でも相互変換可能な系の開発とポリマー種の集合挙動調査を開始する。申請者が本研究に先だって検討を進めている分子内環化の系を元に、導入する親水性置換基を適切に選択し、水溶性を獲得する。このような水溶性化合物では、キラルなリオトロピック液晶のピッチを酸化還元で制御できる可能性がある。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 2件)
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