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2016 年度 実施状況報告書

無機-有機界面ナノ構造体を基盤とした新規機能の創出

研究課題

研究課題/領域番号 16K13969
研究機関群馬大学

研究代表者

藤沢 潤一  群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (20342842)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード界面ナノ構造 / 機能 / 酸化チタン / 無機-有機ハイブリット
研究実績の概要

無機半導体表面を基盤にした有機化合物のナノ構造体の構築と機能発現を目的に、本年度は、アナターゼ型酸化チタンナノ粒子表面にビスフェノール化合物を化学吸着させることで界面ナノキャビティー構造の構築と光機能化に向けた基礎研究を行った。本実験では、フェノール基を二つ有する種々のビスフェノール化合物を用いて検討を行った結果、二つのフェノールを1,4-phenylenediisopropylideneで架橋したビスフェノールPが二つのフェノール基でTi原子に化学結合することで、酸化チタン表面にナノキャビティー構造が形成することをフーリエ変換赤外線分光法(FT-IR)と密度汎関数理論(DFT)計算により明らかにした。さらに、この界面ナノキャビティー構造体の形成に伴い、酸化チタンナノ粉末の色は白色から黄橙色に変化することを見出した。この可視光応答は、ビスフェノールPから酸化チタンの伝導帯への界面電荷移動遷移に起因していることを拡散反射紫外可視分光とDFT計算を用いて明らかにした。界面電荷移動遷移は有機部位と無機部位の電荷分布を大きく変化させる性質を有することから、この研究結果は光応答型界面ナノキャビティー構造の構築を示している。さらに、界面ナノキャビティー構造体の形成のための条件について理論的に解析を行った。その結果、有機化合物の化学吸着基間の距離と表面Ti原子間距離のマッチングと有機化合物の柔軟性がナノキャビティー構造の形成のための必要条件であることが示された。今回構築した光応答型界面ナノキャビティー構造は、新規包接機能や光エネルギー変換への応用が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

無機半導体表面を基盤にした有機化合物のナノ構造体の構築と機能発現に向けた基礎的研究において、有機化合物の酸化チタン表面への吸着による界面ナノキャビティー構造の構築を世界で初めて実証し、さらに、界面電荷移動遷移を用いた光機能化の可能性を示した。さらに、本研究予算により購入したワークステーションを用いてナノ構造と電子状態および光吸収特性について理論的に知見を得ることができる状況が整った。これらの結果から本研究はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

今後は、上述の界面ナノキャビティー構造体を用いた機能化と新たなナノ構造体の構築に向けた指針を探索する必要がある。界面ナノ構造体に関する研究は、本研究が世界に先駆けて行っているため具体的な機能化を考える前に、研究に用いることができる無機半導体ナノ材料や有機化合物の拡張は重要である。このような理由から、第2年度ではまず界面ナノ構造体構築のための無機半導体ナノ材料や有機化合物の開拓をする予定である。具体的には、シリコンナノ粒子とアミン化合物を用いた界面ナノ構造体の構築に関する研究を実施する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] A Surface Nanocavity Structure of Bisphenol P on TiO2 Showing Interfacial Charge-Transfer Absorption2016

    • 著者名/発表者名
      J. Fujisawa, S. Matsumura and M. Hanaya
    • 雑誌名

      ChemistrySelect

      巻: 1 ページ: 5590-5593

    • DOI

      10.1002/slct.201600357

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 界面電荷移動遷移の生体・薬剤分子への応用と界面ナノ構造体への展開2017

    • 著者名/発表者名
      藤沢 潤一, 江田 匠, 松村 信吾, 菊池 なつみ, 花屋 実
    • 学会等名
      第97春季年会
    • 発表場所
      慶応大学日吉キャンパス
    • 年月日
      2017-03-17

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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