研究課題/領域番号 |
16K13978
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
寺西 利治 京都大学, 化学研究所, 教授 (50262598)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ナノ材料 / ナノディスク / パラジウム / プラズモン / 水素吸蔵 |
研究実績の概要 |
金属ナノ粒子は、水素吸蔵量、水素の吸蔵/放出温度の低減、生成水素化物の安定性等の観点から、次世代水素吸蔵材料として有望である。申請者は、10 nm以下のPdナノ粒子中の強束縛水素の存在や、異方性Pdナノディスクにおける局在表面プラズモン共鳴(LSPR)誘起C-Cカップリング反応の加速を発見している。本研究では、可視・近赤外領域にLSPRを有するPdナノディスクを用い、可視・近赤外LSPR誘起電子注入による水素分子の解離加速・水素吸蔵量の増大、ならびに、結晶内常温・常圧水素強閉じ込めを目的とする。 本年度は、Pdナノディスクへの異種元素固溶によるLSPRピークシフトを確認するため、Pdナノディスクへの炭素原子固溶について検討した。Pdナノディスクは、ポリビニルピロリドン(分子量 40,000)を保護剤兼還元剤として用い、四塩化パラジウム(II)酸ナトリウムから合成した。合成時の攪拌速度を調整することにより、一辺79±16 nm、厚さ23±3.2 nmのPdナノディスクの合成に成功した。このポリビニルピロリドン保護Pdナノディスクをオレイルアミンに配位子交換後、トリメチルアミン-N-オキシドと反応させたところ、X線回折測定からPdの格子膨張が確認され、炭素原子のPdナノディスク格子への侵入が示唆された。炭素原子侵入前後のPdナノディスクの吸収スペクトルを比較すると、炭素原子の侵入によりPdナノディスクの誘電率が変化し、LSPRピークが長波長シフトすることが分かった。すなわち、Pdナノディスクへの水素吸蔵においてもLSPRピークが長波長シフトすると考えられるため、水素吸蔵量変化を検討するための照射光波長を、PdナノディスクのLSPR波長より長波長にする必要あると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初の計画通りのPdナノディスクの合成・キャラクタリゼーションを行うとともに、炭素原子侵入によるPdナノディスクの誘電率が変化に基づくLSPRピークの長波長シフトという新しい研究成果を得ることができ、次年度の研究方針の決定に重要な結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
炭素原子侵入前後のPdナノディスクの吸収スペクトルを比較すると、炭素原子の侵入によりPdナノディスクの誘電率が変化し、LSPRピークが長波長シフトすることが分かった。すなわち、Pdナノディスクへの水素吸蔵においても誘電率変化の影響が強く、LSPRピークが長波長シフトすると考えられるため、水素吸蔵量変化を検討するための照射光波長を、PdナノディスクのLSPR波長より長波長にする必要ある。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、Pdナノディスクの異種軽元素導入による局在表面プラズモン共鳴吸収ピークのシフトについて集中的に検討を行ったため、物品費ならびに旅費が当初予定ほどはかからなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の研究加速のため、平成29年度分使用額を、金属塩や水素混合ガス等の消耗品の購入費、ならびに、共同研究者との打合せ・実験のための旅費に充当する。
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