研究実績の概要 |
当研究では、光電気化学センサーの作製を目指している。そのため、基板上にポルフィリンなどの色素を積層する必要がある。電極上ではポルフィリンを密に積層すると、励起子の自己失活やゲスト分子との相互作用の立体障害となることが予想される。そこで、予めシクロデキストリンによってポルフィリンを包接し、ポルフィリン間の接触をできないようにすることを考えた。このシクロデキストリン・ポルフィリン錯体を基板から延ばした官能基とつなげることで、密に積層されすぎることを防ぎ、高感度センサーとする。 本年度は、ジアザポルフィリンとシクロデキストリンとの錯体形成を調べた。二つのメソ位に付いたフェニル基として、ベンゼン、4-ヒドロキシベンゼン、および3,5-メトキシベンゼンの3種類のジアザポルフィリンを用いた。その結果、全てのジアザポルフィリンは水溶化できることがわかった。二次元NMRスペクトル測定からジアザポルフィリンのメソ位に付いた二つのフェニル基がシクロデキストリンを貫通していることがわかった。もし、これらのジアザポルフィリン-シクロデキストリン錯体を基板に積層できた場合、ロタキサン構造となるためシクロデキストリンが外れないものと期待できる。そのため、密にポルフィリンが積層されているがポルフィリン間に空間が存在するセンサー用の基板が準備できるものと期待できる。
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