本研究では、これまでに、新規化学修飾グラフェン材料を開発するためのベース材料として酸化グラフェンを用いてきた。酸化グラフェン(GO)は、グラフェン骨格に様々な酸素官能基が付加した構造を持つため、高いプロトン伝導性を示し、更にGOを還元したrGOは、その還元手法(熱・化学・電気化学・光等)により電子伝導度の制御ができることが確認できている。そのためこれらの特性を活かした燃料電池や太陽電池といったデバイス化への糸口が見出されつつある。一方、GOの官能基に注目し、種々の還元方法を考えた場合その基準となる特性値が定まっていない上、GOの研究は非常に盛んに進んでいるに対してリファレンスとなる理論計算系の報告が少ないことが現状の課題である。 そこで、本研究では、これまでGOの各種還元方法に基づいた理論計算、及び様々な化学修飾などにより、新しいGOの検討を進めてきた。本年度はGOの修飾及びGOと比較するために、他の二次元構造を持つナノシートに注目し、これを合成し、GOとの積層、GOとの比較を検討してきた。その中で新しい二次元ナノシートの合成及びGOとの積層化に成功した。本研究では、まず初期に、GOの持つ官能基、欠陥等の構造に注目し、理論的な面からGOを知り、中盤そして終盤において、GO化学修飾法及びGOの積層化を通じ新しいGOの修飾法等を見出すことができたと考えている。
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