研究課題/領域番号 |
16K13989
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
小笠原 正道 徳島大学, 大学院理工学研究部, 教授 (70301231)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アレン / 軸不斉 / パラジウム / 均一系触媒 / 求核剤 / 不斉合成 |
研究実績の概要 |
本年度は、最終目的とする「主鎖にアレン構造を有するポリマー」をより効率よく、かつエナンチオ選択的に合成すべく、二官能性ブロモジエンの新規合成と、パラジウム触媒二重求核置換反応への応用を検討した。ブロモジエン末端の脱離基として、アセテート基以外に、ベンゾエート基、ジエチルホスファート基を有する基質を新たに合成し、パラジウム触媒二重求核置換反応への応用を試みた。ベンゾエート基を有するブロモジエン基質は、アセテート基の基質とほぼ同等の反応性/選択性を示したが、ジエチルホスファート基を有する基質では、二つの脱離基(ブロモ基とジエチルホスファート基)間での反応する順序が逆転することが見出された。その結果、反応条件を適切にコントロールすれば、二重求核置換反応を段階的に行うことが可能となり、「二種類の異なる求核剤を段階的に導入すること」が可能となった。また、この逐次二段階反応の選択性を制御するには、嵩高い二座ホスフィン配位子をパラジウム触媒の補助配位子として用いることが重要であることを見出した。 また、嵩高い二座ビアリールホスフィン配位子を用いることにより、パラジウム触媒二重求核置換反応の不斉化も達成しており、現在のところ最高98%eeで軸不斉アレンが得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
後述のとおり、研究代表者は2016年4月に徳島大学大学院・理工学研究部において新たに独立した研究室を立ち上げることとなり、北海道からの研究室の引越し、学生の移動手続き、新天地での研究環境整備に時間を要した。そのため、当初の予定よりもかなり不十分な結果しか得ることはできていない。
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今後の研究の推進方策 |
研究室立ち上げに伴う研究の遅れを取り戻すべく、2017年度は極力効率の良く研究を進める所存である。予算の大部分は消耗品の購入にあて、原料合成などは可能な限り省略し、効率化をはかる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者は、2016年4月に徳島大学大学院・理工学研究部教授を拝命し、旧所属の北海道大学から徳島大学へ移動することとなった。そのため、新たな研究室の立ち上げに時間を要し、8月ごろまで研究開始が遅れた。また、新研究室で研究環境を整えるのにも時間が必要であった。また、北海道大学で指導していた大学院生が、研究指導委託学生として徳島大学まで来てくれているが、彼/彼女らの委託手続きにも時間を要し、学生諸君が徳島大学で実験を開始するのも夏過ぎであった。これらの要因により、2016年度の研究費の大部分は2017年度に繰り越して使用することとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
残りの時間で効率よく研究を遂行すべく、研究費の大部分は消耗品(主に試薬類)の購入に充てる計画である。
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